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お金を貯めることと増やすこと【お金の教育No.8】

はじめに

皆さんは、キチンとお金を貯めていますか?金額の大小はあれど、多くの方は「はい」と回答されると思います。

では、そのお金をキチンと増やしていますか?金融庁の報告書による老後資金2,000万円問題が取り沙汰されたことから、投資について目に触れる機会が増えました。ただ、必要だとは思っているがまだ何も始めていない、または、何から始めていいか分からないという方も多いと思います。株式や不動産など、投資の種類も多く迷ってしまいますね。

少し細かい話をすれば、前者のお金を貯めることは「資産形成」、そして後者のお金を増やすことは「資産運用」と呼ばれています。資産形成とは、少しずつ積み上げていって資産を作り上げていくことで、資産運用をする前段階をいいます。一方、資産運用とは、既に形成された資産を金融資産や不動産資産へ投資することで利益を求め、または形成した資産を減らさないようにすることをいいます。

英ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏らが著した『ライフ・シフト』(東洋経済新報社)によれば、先進国の中でも「長寿化」の流れは日本が頭ひとつ抜けており、07年に日本で生まれた子どもの50%は107歳まで生きると推計されています。私たちは、今までよりも長生きをするがゆえに、この「資産形成」そして「資産運用(=投資)」を本格的に考えていかなければならないステージに来ています。

日本円だけでいい?

皆さんが「資産形成」として貯めたお金の置き場所はどこでしょうか。貯金箱や銀行でしょうか?

仕事で稼いだお金を貯金箱か銀行に預けると、資産の全てが日本円だけになるでしょう。資産の全てが日本円だけということは、「日本という国に100%賭けている」ということであり、日本がインフレーション(※)になる可能性があるというリスクも抱えながら、将来の「円高にかけている」ということです。円が世界中で最も安全な資産であると考えている場合にはOKですが、円安になった場合には円の価値が下がりますから、目に見えない形で損をすることにもなるのです。もし今後、円安か円高のどちらに振れるか分からないという場合には、円と外貨(例えば基軸通貨である米ドルなど)を保有する方が合理的な考え方であり、リスクが回避されることになるでしょう。

(※)インフレーション|英語:Inflation

物価が継続的に上昇してしまうこと。

「資産運用」の目的

「資産運用」の目的は「より多くの資産を形成し、人生100年時代においても悠々自適な生活を送ること」です。「資産運用(=投資)」とは、「リバランス(資産再配分)」であり、お金を日本円以外の資産で貯めることと言い換えても良いと考えています。つまり、貯金をする時のお金の置き場所を今までと変えることですから、実は誰にでもできることで、難しいことではありません。

現役世代の私たちは引退後に年金はもらえますが、今の収入に比べて大幅に目減りはするでしょう。仮に円通貨による貯金がそれなりにあったとしても、このコロナショックの後に、インフレーションが起こったような場合には、その蓄えは加速度的に減少してしまうのです。

ですから、今のうちから「資産運用(=投資)」を行うことにより、できるだけ多くの資産を形成し、これらのリスクを回避すべきなのです。むしろ投資を行わない方が、実は大きなリスクと言い換えても差し支えないでしょう。

具体的にどうすれば良いか

本稿の参考書籍(※)の著者である世古口氏は、著書で以下のように述べています。

「まず現役時代にリスクを取り、できるだけ多くの資産形成をしておくこと。そして、その形成した資産を日本の円預金だけにしておくのではなく、外貨や株式、債券、不動産などに分散することでインフレのリスクを回避することが重要です。」

つまり、金融資産と実物資産をバランスよく持つべきであり、その中身は年齢におけるリスク許容度に応じて資産運用する、という考え方です。バランスの良い資産配分を長期で形成していくことが重要であり、何よりもリスクを回避することにつながるでしょう。

もしあなたの年齢が20代~40代であれば、株式と不動産に投資するべきです。なぜならば株式のようなリスクがある資産に積極的に投資をして、仮に損失が出たとしても、収入でその補填が可能だからです。また、不動産は長期でローンを組むことができるため、早めに投資をスタートした方が早くローンの返済を終えることが出来ますから、将来の収入が大きくなります。

もしあなたが50代~60代であれば、あまりリスクがある資産には投資をせずに、債券(国債や社債)で確実に運用する方法が良いでしょう。

まとめ

今回は総論のみですが、悠々自適な生活を送るために非常に重要なものであり、「資産運用(=投資)」を子どもにも早くから教えてあげたい内容だと私たちは考えています。しかしながら、このような話は学校教育の中では手が届きにくい内容ですから、親が子どもに教えることも必要になってきます。

親が子どもに教えるためには、親の実体験が一番大切です。先ずはお父さん、お母さんが実際にお金の置き場所を変えてみて、ご家庭でお子さんと話をするきっかけをつくってみてはいかがでしょうか。もしかしたら、オンラインゲームよりも興味を持ってくれるかもしれません。

(※)参考書籍「しっかり1億円貯める月1万円投資術
あさ出版 株式会社ウェルス・パートナー 世古口俊介 著


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