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【SDGs解説】貧困問題と子どもの生きる力

世界中で拡大する貧困問題

物質的に満たされた社会で生きていると実感することが難しいですが、世界ではまだまだ貧困に苦しむ人々が多く存在します。

そして、こうした貧困問題は先進国を含むあらゆる国々に迫っていることから、国連加盟国が手を取り合い、世界中に散らばる問題を2030年までに解決しようという『SDGs』の目標の1つに「貧困をなくそう」というゴールが加わりました。

実は貧困は日本でも無関係なことではありません。日本財団の調査によると、日本の子どもの貧困率は今、OECD加盟国の中で最悪の水準にあります。子どもの貧困率は、1980年代から上昇傾向にあり、今日では実に7人に1人の子どもが貧困状態にあるとされています。

こうした事態を社会全体で改善するために、今回は貧困問題と子どもの生きる力についてご紹介します。子どもを貧困問題から守るためにおうちで出来ることもご紹介しますので、是非最後までお付き合いください。

参照:日本財団が行った調査 https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/ending_child_poverty

可視化された世界の貧困

『世界銀行』がこうした貧困問題を可視化するために設定した国際貧困ラインでは、貧困とは1日1.90アメリカドル(およそ209円)未満の暮らしを指し、それぞれの国で貧困問題解決の努力がなされてきました。

しかし、2020年からのコロナ問題もあり、世界の全人口の9%強が貧困層としての生活を強いられているようです。

持続可能な開発目標(SDGs)に取り組む日本においても、この貧困問題は解決すべき社会問題として注視されています。そしてこれは、いかに日本のような先進国で暮らそうとも我がごとになってしまう可能性も決してゼロではありません。

それでは、日本国内の貧困問題について詳しくみていきましょう。

日本における貧困問題

国際貧困ラインを下回る、いわゆる衣食住に困るような「絶対的貧困」は少ないものの、上と下とで格差が生まれる「相対的貧困」は日本でも多いとされているのです。

相対的貧困とは、国や地域といった特定の場所で暮らす大多数の生活水準を下回る状態のことをいいます。

少々古いデータにはなりますが厚生労働省が2012年に発表した『国民生活基礎調査(OECDの作成基準に基づく調査)』では、135万円が日本の相対的貧困ラインに相当することが分かっています。

そして、2015年の調査では日本の相対的貧困率は15.6%と高く、一人親家庭の相対的貧困率においては50.8%という驚くべき数値がみられました。

このことからも、日本の貧困問題は非常に深刻であることが分かります。

相対的貧困に陥らないために

相対的貧困を無くすための社会的な支援はいくつかありますが、セーフティーネットが完全でない以上は、自分の身は自分で守ることが大切になってきます。

特にこれからを生きる子どもたちは、どうすれば貧困に陥らないか、どうすれば貧困から抜け出すことができるかを知っておくことが必要です。

貧困と所得には、切っても切れない繋がりがあります。

より良い仕事に就くことができれば生活水準は必然的に上がるため、職業の選択肢を増やしておくことが有効な安全策といえるでしょう。

ただ、さまざまな家庭の事情があり、学業面においては誰しもが簡単に専念できるものではないかもしれません。

そんな時に役立つのが、「子どもの生きる力」なのです。

貧困に打ち勝つ子どもの生きる力

非認知能力とも呼ばれる「子どもの生きる力」こそ、相対的貧困に陥らないために、社会に出る前に身につけておきたい能力です。

子どもの生きる力にはたくさんの要素が含まれますが、その1つに「挑戦力」があります。

挑戦力とは、失敗を恐れることなく、自分を信じて挑戦を続ける能力です。

どんな状況下にあっても問題解決のために進み続ける力さえあれば、たとえ貧困が目の前に迫ろうとも戦うことができます。

貧困に負けず、挑戦を続けて成功を掴んだ偉人は数多く存在します。

「ファーブル昆虫記」の著者として知られる生物学者のジャン・アンリ・ファーブル氏が、貧困家庭で育ったことはご存知ですか?

ファーブル氏はその日の食事もままならない生活を送っていましたが、生物の研究を諦めることなく挑戦を続け、肉体労働者から学校の先生に転身を果たし、さらには世界中に愛される著書を残しました。

人生は一度きりですが、諦めない限りチャンスは何度でも訪れます。そして、そのチャンスを掴むためには挑戦する力が必要となってくるのです。

「失敗は成功の母」や「禍(わざわい)を転じて福と為す」という諺がありますが、個人で貧困と戦うためには、子どもの生きる力は強い武器となるでしょう。

かなり極論的な表現になりますが、要は気の持ちようなのです。ファーブルだけでなく著名な実業家にも幼少期に貧しい体験をしていた人も少なくありません。大切なのは諦めずに挑戦する力です。それは勉強が得意かどうかは関係ありません。失敗を恐れず挑戦し続ける力は、親の教育次第で如何様にも身につけて上がることができます。

挑戦力を伸ばす子育て!

最後は、おうちでの子育てを通じてどのように子どもの「挑戦力」を育ててあげることができるかをご紹介します。

子どもは基本的に好奇心旺盛で、挑戦することが大好きです。

そのため、おうちで「挑戦力」を伸ばすためには、子どもの「やりたい!やってみたい!」という気持ちをサポートしてあげることが大切になってきます。

何事も最初から上手にできるよう先回りをしてあげたくなるのが親心ですが、そこをぐっと我慢して、「失敗してもいいんだよ」と声をかけながら子どもの頑張る姿を見守ってあげて下さい。

もちろん物理的に危ないことは避けるべきですが、子どもが何かをやりたがった時にはストップをかけないように家族が心がけることで、挑戦失敗を恐れず進み続ける「挑戦力」が子どもの中で育っていきます。

もし失敗してしまった時には、決して失敗を責めることなく、子ども自身に失敗の原因を考えさせてあげましょう。

そうすることで思考力も育ち、たとえ貧困のような問題にぶつかった時にも前向きに挑戦を続ける力が備わります。

個人レベルで貧困をなくすために

現代の貧困問題は発展途上国のみならず、相対的貧困という形で日本を含む先進国にも襲いかかっています。

世界レベルで社会問題を解決するために立ち上げられたSDGsの取り組みにより、現在もそれぞれの国で貧困をなくすための努力は続けられていますが、社会的なサポートだけを頼りにするのはやはり危険です。

貧困問題に見舞われた際にも飲み込まれてしまわないように、幼い頃から子どもの生きる力を身につけておくことが重要になってきます。

子どもの生きる力のひとつとなる「挑戦力」を鍛えておくことによって、貧困のような厳しい状況下でも、逞しく進み続けることの出来る可能性が広がります。

未来ある子どもたちの生活向上のために、家族でコミュニケーションをとりながら、子どもの挑戦力を是非伸ばしてあげて下さい。



こちらもぜひ!SDGs(持続可能な開発目標)について知ろう


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