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はじめに
「ふるさと納税」とは、応援したい自治体に税金を納めるしくみです。
地域への貢献をして、返礼品として名産品をお安く手に入れられることでも人気となっています。ただ、どのようにお得で、税金がどのくらい控除されるかなど、実際にやってみないとわからない点もありますよね。
そこで今回は、お子様と一緒にふるさと納税の仕組みについて学んでみましょう。日本中の自治体でどのような取り組みをしているのかが学べるので社会科の勉強にぴったりです。この記事ではふるさと納税制度について分かりやすく解説していきます。
ふるさと納税とは?
自分が応援したい自治体に寄付できるしくみのこと
「ふるさと納税」とは、自分が応援したいと思う自治体に対し「寄付」の形で税金を納める制度です。
私たちは誰しも、生まれ育ったふるさとの自治体で教育や医療、福祉などの様々な住民サービスの恩恵を受けて成長していきます。
しかし進学や就職によって故郷を離れる人も多く、住民票を移した場所で税金を納めることになります。人の集まる自治体は多くの税収を得られますが、逆に人口の少ない自治体には税収が入らないことになってしまいます。そうなってしまうと財政不足で必要な住民サービスやインフラ整備などができなくなり、利便性を求めますます人口が流出してしまう悪循環に陥ってしまいます。
そこで考えられたのが、自分の故郷など、希望する場所に納税できる「ふるさと納税」の仕組みです。
任意の自治体にふるさと納税をすると、税金は寄付として納税先で活用され、そのお礼として地域の特産品などの「返礼品」がもらえます。
ふるさと納税のお金を何のために使用してもらうかは、寄付した人が用途を指定できるものもあります。寄付金の使い方や、欲しい返礼品から寄付する自治体を選ぶとよいでしょう。
寄付する人にも大きなメリットがありますが、その地域の人にとっても、地元の名産品を全国の人に知ってもらえる良い機会となります。
なお令和3年6月現在で、東京都、高知県奈半利町はふるさと納税から除外されており、納税しても控除や還付が受けられないので注意が必要です。(総務大臣から指定を受けた地方団体がふるさと納税の対象となります)
総務省 ふるさと納税 ポータルサイト https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html
実質自己負担額は2,000円
控除額の限度内で「ふるさと納税」をすると、寄付金の合計額から自己負担の2,000円を差し引いた額が所得税及び翌年の住民税から控除される仕組みとなっています。
【控除額の計算イメージ】
節税ができる上に、2,000円の自己負担だけで実際は2,000円以上の価値がある返礼品までもらえるので、ふるさと納税はとても人気の制度なのです。なお、控除の上限額は収入や家族構成により異なります。
ふるさと納税を取り扱うサイトなどでも、上限額をシミュレーションできるようになっていますので、事前に確認しましょう。
2,000円を超える寄付金は所得税・住民税から控除
税金の控除を受けるには、税務署への「確定申告」、もしくは「ワンストップ特例制度」の適用に関する申請が必要となりますので、忘れずに行いましょう。給与所得者の場合で、ふるさと納税を行う自治体が5つまでの場合は、確定申告が不要となる「ワンストップ特例制度」を行うと手間が省けます。
ただし、もともと確定申告が必要な方は「ワンストップ特例制度」は利用できません。これらの手続きを忘れてしまうと、納税金額が全額自己負担となってしまうので、ご注意下さいね。
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|トピックス|制度改正について(2015年4月1日)
ふるさと納税の流れ
ここで、簡単にふるさと納税の手順について説明します。
①自分の控除上限額を確認
まず、自分の控除上限額を確認しましょう。
ふるさと納税を取り扱うサイトに、目安を確認できるシミュレーターが用意されていますので、それを使うとだいだいの額を算出できます。所得だけではなく、家族構成などによっても金額は変わりますので注意しましょう。
②寄付(納税)する自治体と寄付金の用途を指定する
額が大まかに分かったところで、寄付する自治体を決めます。応援したい地域や送られてくる返礼品などから、良いと思う自治体を選びましょう。申し込み時に、納税したお金を何に使ってほしいかを選択できます。普段はあまり考えることがない「税金の使い道」を考えるとても良い機会です。
③返礼品を受け取る
申し込みの手続きが完了したら、あとは返礼品の到着を待ちます。返礼品によっては、発送時期が指定されているものもありますので、申し込み時に併せて確認しましょう。
④寄付したことを証明する書類を受領する
ふるさと納税をした自治体から、「寄付金受領証明書」または「ワンストップ特例制度」の書類が届きます。「寄付金受領証明書」は、確定申告に必要ですので大切に保管しましょう。
「ワンストップ特例制度」を利用する場合は、寄付した自治体に「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」と個人番号、本人確認書類のコピーを提出します。納税先の自治体によって、申込手続や申請書が異なることがありますので、ふるさと納税先の自治体にお問い合わせください。
これらの手続きをしないと、税金が返ってきませんので忘れずに行いましょう。
ふるさと納税を社会科の学習に繋げる
返礼品は地域の特産・名産品が多い
ふるさと納税の返礼品は、その地域の名産品や特産品がほとんどとなっています。それらを多くの人に知ってもらうことで、地域のPRにもなり、地域への愛着を持ってもらうことも目的の一つだからです。
この機会に、自分の地域では何をふるさと納税の返礼品としているかを調べてみましょう。なぜそれが選ばれたのかを調べてみるなど、地元の産業の歴史に興味を持つきっかけにもなります。食べ物であれば、気候や地理、その土地の風土などとの関係も学ぶことができますね。民芸品であれば、その土地の歴史や文化の勉強にもなります。「〇〇の生産量が実は国内トップ3に入るんだ」とか「実は日本で一番〇〇なんだ」という発見があるかもしれません。
そのように調べた上で実際にふるさと納税の返礼品を手にすると、納税した地域がより身近に感じられることでしょう。
ふるさと納税で地方創生
寄付金は自治体が持つ課題によって使われ方は様々です。例えば子育て支援や高齢化対策や災害復興など、地域ごとに抱えている課題を解決するための選択肢が用意されています。
ふるさと納税の使い道は、その選択肢の中から寄付する人が指定できるのです。
具体的な例をご紹介します。
長崎県五島市では、ふるさと納税を学校のICT教育充実のために活用しました。五島市は離島のため、課外授業や部活動の遠征でも船や飛行機を利用しなければなりません。そのような環境でも他県や世界との交流を目指し、ICT環境の整備を進めました。その結果、島の小規模小学校での一斉授業や、遠く離れた北海道の小学校と遠隔で授業を行うなどの成果を上げています。
「ふるさと納税の活用事例一覧」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/topics/20180330_case_study.html
このように、地域の持つ課題を解決するお手伝いができるのがふるさと納税の良いところです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ふるさと納税は、実質2,000円の自己負担で故郷や自治体を応援できる制度です。どこに納税するか、そこではどのような地域課題があり、どんな特産品があるのかなど、ぜひ地図を広げてご家族で学ぶ機会にしてみて下さい。新型コロナウイルスの流行が落ち着いたら、納税先の自治体へ実際に遊びに行ってみてもいいですね。現地で地元の方と「ふるさと納税がきっかけで来てみました」という話から交流ができたら、きっとお子さんの思い出に残る、素敵な経験になるのではないでしょうか。