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はじめに
みなさんは「ライフプラン」を作ってみたことはありますか。ライフプランとは数十年先までの将来を思い描いた生活設計のことです。結婚・出産・住宅購入・子どもの進学・転職や定年退職など、人生におけるさまざまなライフイベントを想定し、それにかかる金額を見積もっておくことで、長い視点から家計を組立てていくツールとなるものです。
金融コンサルティング会社の調査(※1)によると、63.3%の方がライフプランニングの重要性を感じながらも、54.1%の方が「ライフプランニング未経験」という回答になりました。
※1 「人生設計(ライフプランニング)とお金」に関する実態調査:ブロードマインド株式会社(東京都) 2020.12.02プレスリリース(https://www.b-minded.com/information/press/2617.php)
これからの生活を少しでもゆとりを持って豊かに過ごすためにも、家族のライフプランを人生の手掛かりとして活用してみましょう。この記事では、ライフプランについて分かりやすく解説していきます。
人生の未来地図「ライフプラン」
ライフプランは保険相談などの際に作成してもらうこともできますし、テンプレートをダウンロードしたり、シミュレーションサイトを利用しても手軽に作成できます。
例:金融庁「ライフプランシミュレーション」
より詳しく調べたい方にはこちらも。
知るぽると「生活設計を診断してみよう」https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/sindan/input/
まずは試算内容を見てみましょう。項目によっては平均額で計算されている場合もありますので、金額面の調整をしたり、家族の希望や予定などの項目を追加していきます。
家族の情報と大まかなライフイベントを整理する
白紙からライフプランニングする場合は西暦と家族の年齢を書き出すところから始めます。シミュレーション結果がある場合は印刷して記入していくと手軽ですよ。
まずは進学費用や住宅費など金額の大きいものからチェックしていきましょう。家族がそれぞれ何歳の時点なのか、年齢を記入してみるとイメージしやすくなります。
住宅購入、頭金の支払いによっては貯蓄額が大きく減る時期もあり、借入れ開始があれば完了の時期もあります。
また、マイカーを所有している家庭では定期的に車検もありますし、車の買い替えもあるでしょう。直近で買い替える予定の時期を起点として、それ以降、どのくらいのサイクルで買い替える見込みがあるのかを考えていくと、人生における自動車費を見積もることもできます。
このように、わが家オリジナルのライフプランを追加して資金面を計算してみましょう。
教育資金
「子ども一人当たり1,000万円、大学まで私立だと2,000万円」と言われているように、教育費は簡単には下げられません。小中学校から受験を予定している場合はさらにまとまった金額が早い時期から必要となります。通塾費がかかり、貯蓄が難しくなる時期もあるはずです。
大学でも、4年間1人暮らしをすればそれなりの住居費がかかりますし、運転免許の取得や就職活動費も必要になる可能性があります。大変ですが、教育費は支出のピークを予測しやすい項目ですので計画的に準備をしていきましょう。
住宅資金
住宅ローンは利用し始めると人生の大半をかけて返済していくことになります。これから住宅取得を予定している場合は、頭金や借入れ額について楽観しすぎないように計画していきましょう。
例えば、住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(※2)」によると、住宅(注文住宅・マンション)購入価格の全国平均はおおよそ3,300万円から4,300万円の範囲ですが、実際の借入れ額や返済方法は借りる人により異なります。
借りる時は返済できていても、マンションであれば毎月、管理費・修繕費や駐車場代がかかりますし、戸建て住宅でも自然災害などで突発的な修理があるかもしれません。教育費が増える時期と重なって、住宅ローンのために進学費用が不足してしまうというような事態も起きるかもしれません。住宅取得に関しては収入見込みだけでなく、家族のライフプランも含めて考えていくことが重要となります。
また、長らく低金利傾向にあった変動金利型でローンを利用している場合、例えば5~10年単位で借換えシミュレーションしてみる予定を書き込んでおくと、忘れずに定期的なチェックができそうです。
※2 住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」2017年度・調査結果(https://www.jhf.go.jp/files/400346708.pdf)P.22~24
自分の老後について
最後になりますが、忘れてはならないのが自分たちの老後資金です。まだ先と思っていても、退職金や年金、老後の生活費について考えておく必要があります。
自分自身の老後資金
自分自身が定年退職や老後を迎える時期、貯蓄にはどのくらいの余裕がありそうでしょうか。住宅ローンの完済時期も気になるところだと思います。退職金については勤続年数により段階的な差が設けられているケースが多いようです。勤務先の制度を確認しておくことも、ライフプランの重要なポイントです。また、給与水準により公的年金額にも個人差があります。老後の年金額については毎年、誕生月に郵送される「ねんきん定期便(※3)」や電子版(※4)での確認が可能です。
※3 日本年金機構 年金Q&A(https://www.nenkin.go.jp/faq/nteikibin/teikibin/gaiyou/index.html)
※4 電子版「ねんきん定期便」(https://www.nenkin.go.jp/n_net/n_net/nenkinteikibin_2018.html)
年金額や将来の貯蓄残高を考えると、老後の生活費に不安を感じるかもしれません。公的年金のみで老後生活を賄うことが難しい時代になり、2019年の金融庁レポート(※5)では公的年金以外に夫婦2人で約2,000万円が必要になるという内容が話題となりました。
老後、健康に過ごすことができればいいのですが、医療費にも個人差があります。また、施設入所を希望する場合は入所一時金も必要です。老後は決して先のことではなく、少しずつ備えていく意識を持つことが大切だといえます。
※5 金融審議会ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf)
祖父母世代の介護関連
自分たちと同様に考えておきたいのが、祖父母世代の介護等の費用です。生命保険文化センターの調べ(※6)によると、介護にかかる費用のなかで、毎月の支出だけでも月額平均7万8,000円の負担になることが判明しました。介護期間も平均で54.5カ月(4年7カ月)という回答となり、身内の金銭的・時間的負担が大きいものであることが分かります。
※6 生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」平成30年度調査報告書(速報版 https://www.jili.or.jp/press/2018/pdf/h30_zenkoku.pdf) p.76~ 生活保障に対する考え方 → (e)介護費用 p.96~97記載
人生の三大資金は住宅・教育・老後だといわれていますが、状況によっては親の老後も含めて想定していくことが必要になる場合がありそうです。ご家庭によってはお墓を新たに購入したり、逆に墓じまいを考える場合もあるかもしれません。若い時には想像しづらい老後のことや普段なかなか話題にしにくい介護やお墓の話も、ライフプランニングを通じて家族で話をするきっかけにできるかもしれません。
まとめ
ライフプランを作ってみると、人生の見通しを持つことができます。将来の資金不足に気付けたなら今から対策を立てることも可能になります。普段はあまり知ることのなかった家族の将来の夢ややりたいことなども話し合える良い機会にもできます。お子さんにとっても、今の暮らしが将来に向けての第一歩であることを学ぶ機会にもなるはずです。