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身近にある経済指標「消費者物価指数」

はじめに

子どもの将来のことを考えると小さい時から経済に関する感覚を身に付けることも重要です。ピアノや体操など色々な習い事をされているお子さんも多いと思いますが、経済感覚はなかなか習い事で身に付けることはできません。ご家族で教えていく必要があるでしょう。

経済感覚を養うためには経済指標を理解することが重要です。経済指標という言葉を聞くと、「それだけでもうなんだか難しそう…」と思いますよね。普段の生活の中ではなじみの薄い言葉ですが、テレビや新聞などで見聞きしたことだけはある、という方も多いと思います。

今回は経済指標の中でも身近に感じることができる「消費者物価指数」について、分かりやすく解説します。

消費者物価指数とは

消費者物価指数とは消費者が購入するモノやサービスの価格の変動を示す経済指標で、総務省が毎月発表しています。

まず、理解しておくべきことはモノやサービスの価格は日々変わっていくということです。現在の日本は急激に成長している過程ではありませんので、劇的にモノやサービスの値段が変動しているわけではありません。しかし実際には少しずつ変わっているのです。

消費者物価指数は1946年の8月から調査が開始されています。導入当初は通常の価格とヤミ市での価格が併存する形でした。その後、徐々に経済復興に伴い資料も整ったため、少しずつ集計方法を変えながら現在でも継続されています。

(参考:2015年基準 消費者物価指数の解説 Ⅵ 消費者物価指数の沿革 (stat.go.jp)

消費者物価指数を1990年からの時系列でグラフにすると以下のようになります。少しずつではありますが、物価が変動し、モノやサービスの価格が変動していることがわかります。

グラフ

消費者の目線で見ると物価は安い方がいいと考える方も多いかもしれません。

しかし、実際は物価が下落し続けると経済に悪影響を及ぼします。物価は経済の流れを示しており、物価が下がる時は経済情勢が悪化し、賃金が下がることが多いのです。

物の値段を下げた分、儲けが無くなれば会社の利益も減ります。そうすると、企業は新しい設備投資を控えたり、無駄な出費を省くために色々な経費を減らしたり、働いている人のお給料が上がらなくなったりと、ジリ貧になってしまうのです。

YouTubeにも解説動画を投稿しているので、そちらもぜひご覧になってみて下さい。

消費者物価指数は何に影響を与えている?

消費者物価指数は実際にどのようなものに影響を与えているのでしょうか。
消費者物価指数のしくみと見方 -2015年基準消費者物価指数- (stat.go.jp)

会社の給与

企業に勤めている方は各企業の労働組合に属しているという方も多いのではないでしょうか。各企業では消費者物価指数を参考に賃金を改定している企業も多くあります。

また、組合が賃金のベースアップなどを企業側に求める場合も消費者物価指数を参考にします。

児童扶養手当額の改訂

児童扶養手当とは子育てをしている世帯に手当が支給される制度です。児童手当は生活費の支えとするために支給されますので、生活費の負担額によって支給するべき額が異なります。

そのため、消費者物価指数を参考値としています。

国民年金・厚生年金の支給額

国民年金や厚生年金も消費者物価指数を基に支給額が改訂されています。国民年金や厚生年金は国民の生活を守るために支給されています。そのため、国民の生活に実際どれくらいのお金が必要かを測るために消費者物価指数が利用されています。

お子さんと学べる身近な方法

消費者物価指数は身近な経済指標ではありますが、数字を見てもなかなか実感が湧きにくいですよね。お子さんと一緒に分かりやすく理解するための工夫をご紹介します。

昔の値段を調べてみる

何かモノを購入した時に昔の価格を調べてみることで、その価格が変わってきていることがわかります。

例えば、毎日おうちで目にするテレビの値段を調べてみましょう。テレビが初めて発売された昭和27年の値段は20万円前後でした。同じ年のサラリーマンの平均月収は2万円だった時代です。

つまり、当時のテレビはサラリーマンの平均月収の10ヶ月分に相当するとても高いお買い物だったわけです。今で言うと、自動車を買うような感覚だったのかもしれませんね。

このように昔の値段や当時の平均月収を調べることで、モノの価格はずっと同じではなく、変動していることがわかります。

モノだけでなく、昔のサービスの価格も調べてみるとおもしろいですよ。ディズニーランドの2021年3月のチケット料金は8,200円ですが、開園当初の1983年のチケット代は3,900円です。

また最近とても身近になったフリマアプリで物の値段を調べてみるのも面白いかもしれません。昔の中古品なのに値段が安くない理由などを想像させるのも、経済感覚を育てるひとつの方法です。

このように身近で利用しているモノやサービスが、昔はいくらだったのか調べることで「価格の変動が実際に起こっているんだ」ということをお子さんと一緒に実感することができます。

お小遣いを消費者物価指数に連動させる

子どものお小遣いを消費者物価指数に連動させるというのも面白い取り組みかもしれません。企業の給与や国民年金や厚生年金も消費者物価指数の変動に応じて支給額が調整されます。

毎月1,000円のお小遣いであれば、1%物価が上がれば10円の値上げとなります。実際に受け取ることができるお小遣いを変動させることで、実体経済の疑似体験をすることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。経済指標は理解しておくことで社会に出た後のビジネス感覚を養うことができます。子どもの頃から身近に感じておくことで、社会に出てからも違和感なく活用することができるでしょう。

お子さんの経済感覚を養うためにはご家族の協力が不可欠です。できるだけ、普段の生活から物の値段を感じることができるように工夫してみてはいかがでしょうか。

例えば、毎日のおやつの時間を活用してみるのも一案です。市販のお菓子などを用意して、シールやテープに値段を書いて貼り、おもちゃのお金でお買い物ごっこをする方法もあります。お子さんの年齢に合わせて、おつりの計算がしやすいように値段を決めるといいですね。

「材料が値上がりしたので、このお菓子も値段が変わりました」という風にときどき値段を変えてみると、この記事で学んだことが活用できますね。おつりの計算を子どもにさせることで簡単な暗算の練習にもなりますし、お店に行かなくてもお買い物の体験ができます。ぜひそれぞれのご家庭で工夫してみて下さいね。

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