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チェスで伸ばす子どもの生きる力【非認知能力とはNo.23】

チェスで伸びる子どもの生きる力!

日本ではあまり馴染みのない『チェス』ですが、世界では身近なボードゲームとして遊ばれているほかに、子どもたちの教育教材としても広く認知されています。

現在では様々な国の研究で、チェスをすることで脳が鍛えられ、認知能力・非認知能力が共に高まることが分かってきています。

さらには子どもの生きる力を伸ばすとされているため、子育てをする親たちから大きな注目を浴びているのをご存知でしたか?

今回はそんなチェスが持つ教育的効果と、おうちでの上手な実践方法をご紹介しますので、是非最後までお付き合いください。

研究でわかったチェスの教育的効果!

チェスが脳に及ぼす影響についての研究はすすめられていますが、そういった研究者のひとりにアルメニアの心理学者、ルーベン・アグザムシトヤン博士(Ruben Aghuzumstyan)がいます。

アグザムシトヤン博士の研究テーマは、「チェスが子どもに及ぼす精神的な影響」についてです。その研究の結果によると結果、チェスが上手な子どもは他の子どもに比べて「比較分析能力」、「クリエイティブな思考能力」、「反射神経」において優れていることが分かりました。

また他の心理学者の研究により、さらに「精神力」と「ソーシャルスキル」が伸びることも実証されています。ソーシャルスキルとは、他者とのコミュニケーションスキルの他に、共感スキルや問題解決スキル、自己認識スキルなどがあげられ、これらは子どもが自己肯定感を高めるために必要な大切なスキルとしても知られています。

自己肯定感が高い子どもは、ありのままの自分を認めることができることから幸せを掴みやすい傾向にあることが、別の心理学の研究で明らかになっています。
チェスをすることでこれだけの良い効果が期待できるのであれば、注目されて然(しか)るべきではないでしょうか。

次は、そんなチェスを義務教育に取り入れた国についてご紹介します!

チェスを義務教育にしている国がある!

このように脳に良い効果をもたらすチェスを、義務教育に取り入れている国があることはご存知ですか?

西アジアにあるアルメニア共和国では、小学校などでチェスの授業が行われています。

アルメニアは「世界チェスランキング」に多くの選手を輩出していることで知られていますが、チェスは子どもの生きる力を伸ばすツールとして、国家レベルで子どもたちに教えているそうです。

アルメニアの文部大臣アーメン・アショットヤン氏は、「チェスは子どもたちの決断力、戦略的な計画を立てる能力、クリエイティブな思考能力を育てる」として、チェスの予算に300万ドル(約3億2500万円)をかけています。

現地の小学校で働く教師によれば、「チェスの授業は子どもたちの考える力を伸ばし、自己肯定感が上がることから他の教科の学習にも影響を及ぼしている」とのことです。

現場のコメントからは、チェスは学習面で良い影響を及ぼしているほかに、子どもたちの自信を育んでいることが窺えます。チェス教育は子どもたちの様々な能力を高め、子どもの生きる力を鍛えることに貢献しているようですね。

それでは、チェスで伸びるとされる認知能力・非認知能力について、もう少し詳しくご紹介していきます。

チェスで伸びる認知能力と非認知能力!

それぞれの役割を持った駒を、特性を活かしながら動かしていくチェス。

常に先の手を読みながら駒をすすめ、一手一手をしっかりと考えながら打つことから、チェスに触れることで『記憶力』や『集中力』がぐんとアップするといわれています。

ドイツの研究チームの報告では、チェスプレイヤーの脳を観測したところ、プレイヤーがチェスボード上の駒の配置を確認するたびに、脳の活動が非常に活発化するサインが出たそうです。

その際に脳の左右の半球に動きが見られたことから、チェスをすることで左右両方の脳がトレーニングされることがわかりました。左脳は暗記をしたり論理的な思考をするときに使われるため、左脳の発達は認知能力を鍛えることに繋がります。

アメリカで行われた別の研究では、4000人の学生に数ヶ月チェスを取り組ませたところ、『IQ(認知能力)』の数値が大幅に上がったことが報告されました。一方、右脳は主に感覚的なものや空間認知をする際に使われているため、チェスをして右脳を活発化させることで非認知能力が鍛えられることになるのです。

チェスをはじめとするボードゲームは、脳にあるニューロン細胞から送られるシグナルで身体(しんたい)が刺激を受け、脳内の神経伝達が成長することから『集中力』が上がるとされています。チェスをプレイする上では、戦略をイメージし、あらゆる分析をしながら相手の出かたをみて駒をすすめるという複雑なことが自然に行われます。つまり、チェスをすれば、想像力・判断力・問題解決能力・論理的考察力といった子どもの生きる力にも繋がる大切な能力が一度に鍛えられるというわけです。このように、認知能力・非認知能力が共に伸びるとなると、チェスをするというのはとても効率の良い脳トレですね。

もし、これからお金の教育を含むひとつ上の教育を子どもにさせてあげたい場合には、基盤作りとしてもチェスは有効なツールといえるでしょう。

それでは、最後におうちでチェスをはじめるための実践方法をご紹介します!

おうちでチェスをはじめましょう!

多くの教育的効果が期待できるチェスは、おうちでも簡単にはじめられます。ボードゲームとして子どもに紹介すれば、より楽しんで取り組むことが可能になります。チェスによる脳の活性化は大人にも勿論有効です。ご家族みなさんで遊べたらとても理想的ですね。

ルール自体は複雑ではありません。相手のキングの駒を取るだけと、とてもシンプルです。最初はオンラインゲームで始めてみるのも、簡単でオススメです。

オンラインで続けても構いませんが、人と対面して遊ぶことで、コミュニケーション能力が高まり社会性が身に付くので、余裕があれば親子が一緒にプレイするのが一番です。親子でコミュニケーションを取りながら、勝利の喜びと負ける悔しさの、その先にある子どもの精神的成長を見守ってあげて下さい。

そうして子どもは知らず知らずのうちに、たくさんのことをチェスから学んでくれるでしょう。

参考資料
https://whichgamefirst.com/should-chess-be-mandatory/

http://cis.chessacademy.am/static/article/33?lang=en

https://chessdailynews.com/chess-might-make-kids-supersmart/


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