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成功に導く鍵GRITを上手に伸ばす【非認知能力とはNo.24】

GRIT(グリット)を効果的に伸ばすために!

「我が子には人生で成功してほしい」、これは世界中の多くの親の願いではないでしょうか。

これまで、人生で成功する為には学力(IQ)を中心とした「認知能力」が重要であるとされてきました。しかし近年ではEQなどといった学力テストでは測ることのできない「非認知能力」が注目されるようになりました。

非認知能力とは生きる力や人間力とも呼ばれていますが、この非認知能力に属する『GRIT(グリット)』というものが成功者になるための重要な要素であることを、過去にでご紹介させていただきました。

今回はそんな『GRIT』をより効果的に伸ばすための方法をご紹介していきます。

GRIT(グリット)はこんな能力!

GRIT(グリット)は、ペンシルベニア大学のアンジェラ・ダックワース教授(Angela Duckworth, Ph.D.)によって提唱されました。

ダックワース教授はハーバード大学で神経生物学を専攻し、卒業後は民間企業に就職しています。その後、オックスフォード大学にて神経科学の修士号を取得。それから、ペンシルべニア大学で心理学の博士号を取得し、同大学で心理学の教鞭(きょうべん)を取りながら、GRITについての研究を進めてきました。

ダックワース教授の提唱するGRITは、次の頭文字から成り立っています。

Guts(度胸):困難や問題に立ち向かう力
Resilience(復元力):どんな失敗をしても諦めずに継続する力
Initiative(自発性):自分自身で目標やゴールを見つける力
Tenacity(執念) :何事においても最後までやり遂げる力

ダックワース教授は、これらをまとめて「やり抜く力」としています。2016年には研究をまとめた『GRITーやり抜く力』という本を出版し、これがアメリカでベストセラーとなり世界の注目を浴びることとなりました。

Grit The Power of Passion and Perseverance
Angela Duckworth
https://angeladuckworth.com/grit-book/ 

「やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける」
アンジェラ・ダックワース 著/神崎朗子 訳(ダイヤモンド社)
https://www.diamond.co.jp/book/9784478064801.html

ダックワース教授は大学卒業後にマッキンゼーで経営コンサルタントとしてしばらく働いていましたが、ニューヨークの公立中学校に転職し、子ども達に数学を教え始めました。

彼女は子ども達に勉強を教える中で「優等生と劣等生をわけるのはIQだけではない」ということに気がつきます。そして、心理学の観点から教育について考えてみようと心理学者に転身し、「挑戦的な環境におかれた人間についての研究」をはじめました。

ダックワース教授の研究テーマは、「どんな人が成功して、それはなぜなのか?」であったといいます。

1)アメリカ陸軍士官学校の士官候補生
2)企業のトップセールスマン
3)教育環境の整っていない場で学生たちの学力を伸ばした教員
4)『ナショナル・スペリング・ビー(単語のつづりの正確さを競う全国大会)』の優勝者

これらの人々を対象として、成功する状況や条件について研究をした結果、彼女はひとつの結論に辿り着きました。それは、成功に作用するのは見た目でも、身体能力でも、IQでもなく、『GRIT』というやり抜く力だということです。

それでは、GRITはどのように身につくものなのでしょうか?詳しくみていきましょう!

GRITという能力はあとからでも伸ばせる!

ダックワース教授によると、GRITは生まれ持った才能ではなく、あとからでも伸ばすことのできる能力だと言います。生まれつき決められたものではなく、後伸びできるということは、誰にでも伸びしろがあるという事ですね。

GRITの伸ばし方として、まずは「成長思考」を身につけることが大切であるとダックワース教授は語っています。この成長思考とは、困難にぶつかっても自分の努力で状況を変えることができると信じる思考のことです。

『失敗は成功のもと』といいますが、例え失敗しても、次の成功に繋げるために粘り強くチャレンジできる姿勢が成功者には備わっています。

国民栄誉賞も受賞している日本の将棋棋士、羽生善治さんの言葉に次のようなものがあります。

「何かに挑戦すれば確実に報われるのであれば、誰でも挑戦することだろう。報われない可能性があるにも関わらず、同じ情熱・気力・モチベーションをもって継続することは非常に大変なことであり、私はそれこそが『才能』であると思っている」

また、世紀の天才といわれるアインシュタインは、「天才とは努力する凡才のことである」と語っています。そして、多才な詩人であったゲーテは、「常に良い目標・目的を見失わずして努力を続ける限り、最後には必ず報われる」という名言を残しています。たとえ認知能力が高くても、やり抜く力がなければ成功には繋がりません。

先天的に恵まれた才能というのは目立ちやすいものではありますが、成功者である彼らが口を揃えている通り、やはり「努力を続けること」、つまりは非認知能力である『GRIT』が成功の秘訣といえるようです。

子どものうちからこの能力を備えていれば、人生において成功する確率はぐんとアップすることでしょう。

『GRIT』を効率的に伸ばす方法!

前回は子どもの『GRIT』を伸ばす実践においての基本ルールをご紹介しましたが、それをさらに効率的に伸ばすコツが存在します。

それは、しっかりとした「目的意識」を持つことです。シンプルですが、これがGRITを効率的に伸ばす方法です。

ダックワース教授はGRITの研究において、『GRITスケール』という基準を用いて能力値を可視化する実験を行いました。すると、「目的意識」がはっきりとしている人ほど「やり抜く力」が強いという結果が出たといいます。

つまりGRITを高めるための実践では、漠然と難しいことにチャレンジするのではなく、「◯◯(目的)を達成するためにこれをする!」といった目的意識を持つことが大切になってきます。

例えば、「ピアノでこの楽譜を弾けるようにする」と決めた場合には、その先に「友達のお誕生日会でお祝いに弾いて喜ばせたい」という目的を設定します。そうすることで、ただ練習を重ねるよりも、「やり抜く」ためのモチベーションに繋がるのです。

達成できた先に「目的」があれば、途中で投げ出すことなく続けられる可能性がぐんと高まります。そして、その目的がはっきりしているほどに、やり抜いた時の達成感は大きくなるでしょう。最初は「家族や友達を喜ばせるため」など身近なところに設定し、そこから少しずつ「世の中のため」など社会への関わりを大きくするのがいいですね。

まとめ

最後に、GRITを鍛えていくためのポイントと、基本になる4つのルールをおさらいします。

①困難にぶつかっても、自分の努力で状況を変えることができると信じる「成長思考」をベースに身につける。

②基本の4ルールを実践する
・家族全員が、ひとつは「ハードなこと」に挑戦しなければならない
・やめてもよい
・「ハードなこと」は自分で選ぶ
・新しいことでも、今やっていることでもかまわないが、最低でも1つのことを2年間は続けなければならない

③そしてその上で、常に「目的意識」を持ってチャレンジを成功させる。

この繰り返しで、子どもの生きる力は鍛えられていきます。「成長思考と目的意識を持って取り組むこと」を日々の習慣にさせてあげることが、子どものGRITを伸ばす近道です。是非親子で伸ばしていきましょう

Angela Duckworth: https://angeladuckworth.com

ダックワース教授のTEDでの講演(日本語字幕あり)
https://www.ted.com/talks/angela_lee_duckworth_grit_the_power_of_passion_and_perseverance


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