はじめに
昨年金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した「老後2000万円問題」。年金以外で2000万円の資金が必要ということですが、今でも何かと話題に上っています。老後のライフスタイルによって変わるので、数字の議論はここではしませんが、不安を覚えた方もいるのではないでしょうか?
心配の種は尽きない「お金」。誰しもゆとりある老後を送りたいと思うはずです。老後は現役時より収入が減る方がほとんどだと思います。もし老後資金に不安があれば、今すぐお金をなんとかして増やさなければなりません。しかし実は日本人は他の国よりお金が増えていないのです。
世界との比較
世界と日本を比較すると、直近20年間での資産の増加率にかなり大きな差があることがわかりました。それを裏付けるデータをご紹介します。
昨年10月、スイスに本社を置く世界最大規模の金融機関であるクレディ・スイス社が「Global wealth report 2019」を発表しました。この中で、2000年から2019年半ばまでの約20年間に、成人一人当たりの金融資産が世界平均では2.3倍に膨らんだのに対して、日本は1.2倍にしかならなかったという残念でショッキングなデータがあります。仮に元手が1000万円とするならば、世界平均は2300万円になったのに対して、日本は1200万円にしかならなかったということです。
もちろんこれは「世界の平均」ですので、資産が2.3倍に増えても、日本人より資産が少ない人々も多くいますが、いずれにせよ日本の資産の伸びはかなり低調だということはハッキリとわかります。
ちなみに私たちの馴染みのある先進国がこの20年でどれだけ資産を増やしたかというと、
アメリカ 2倍
イギリス 1.9倍
フランス 2.6倍
となっており、世界平均に近い伸びを記録しました。元々豊かな国ですらこれだけ資産を増やしていますから、相対的に日本は貧しくなってしまったと言えるかもしれません。ではなぜ日本の資産の伸びはこんなにも低調なのでしょうか?
日本の資産が増えない理由
世界との資産増加に差が生まれてしまった大きい理由としては「日本人は資産の中で投資に回す割合が低い」ことが挙げられます。つまり日本人は海外ほど投資を行っていないということです。
2018年度の金融庁が発表したレポート「家計の資産形成等を巡る状況と課題」によると、日本、アメリカ、イギリスで各家庭の資産における株式、投資信託、債権等といった「運用資産」の割合は以下のようになっています。
日本 18.6%
アメリカ 46.2%
ヨーロッパ 37.5%
ご覧のように日本は金融先進国のアメリカ・ヨーロッパと比べてかなり低いことがわかります。
日本で投資が増えない理由
ではなぜ投資の割合が低いのか?
その大きな理由として「投資はこわいものだ」と多くの人が考えているからではないでしょうか。これは「日本におけるお金の教育が遅れているから」であると私たちは考えています。
もっと言うならば、そもそもお金の教育がほとんど行われていないと感じており、そこに危機感を持っています。
日本証券業協会の下部組織「金融経済教育を推進する研究会」が行った調査「中学校・高等学校における金融経済教育の実態調査報告書」によると「中学1年生に対してどれくらいの時間お金の教育を行ったか」という質問に対して約2000校の中学校が回答し、その約75%が「0時間」と回答しています。つまりお金の教育を実施していないのです。
小学生でお金の教育を受けている子はもっと少ないと容易に想像できます。振り返ってみると私たちも小中学校でお金の教育を受けた記憶がない方も多いのではないでしょうか。
一方、具体的な内容は別の機会に改めて書きますが、アメリカやイギリスでは小学生向けにお金の教育を行っています。
ご家庭でお金の教育を行うには
こうした幼少期からのお金の教育の差が、結果として資産面で大きな差になることも納得できるのではないでしょうか。
小さいうちからお金の教育を受けさせることが必要であると感じている方も多いとは思うのですが、では実際にどうやって教えれば良いのでしょう?結論としては学校であまり教えてくれないのであれば、ご家庭で教えることができれば良いと私たちは考えています。
今はゲームやアプリで学べるサービスもありますし実際の株取引を通して学ばせる方法も良いと思います。しかし、いきなりご家庭で教えると言ってもハードルが高いでしょう。そもそも教える側に金融知識がなければ教えることは難しいでしょう。
私たちはそういった問題を解決すべく、親子で学べる【MY SCHOOL】というサービスを現在準備中です。本サービスは人気の証券会社や金融商品をお勧めすることや、投資テクニックを伝授するものではありません。
みなさんのご家庭でのお金の教育に役立つ情報をこれからも発信していきますので、楽しみにお待ちください!
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