はじめに
これからの子どもたちは、学校の成績が優秀なだけでは生き抜くことが難しくなってきています。しかもグローバル化の波が押し寄せ、世界でも戦える力も求められています。
ではどうすればそのような子どもを育てることができるのでしょう。また、現在インターネットには有象無象の子育て情報が溢れており、どの方法を選ぶか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
そこで、子育てに正解はありませんが、ぜひ皆さんにも知ってほしいと思った子育て方法が記載してある書籍を紹介して行こうと思っています。
第一弾の今回は「世界標準の子育て」(船津徹著ダイヤモンド社)をご紹介します。この本には子育てのノウハウや海外での事例など多くの内容が書いてあり、参考になる情報が豊富です。ここでは私たちがすぐに皆さんに実践していただきたい方法を、数回に渡りご紹介させていただきます。
父親の子育て参加
イクメンという言葉が誕生して約10年。国際社会と比べるとまだ改善余地はあるものの、以前と比べれば子育てにおける父親の参画も進んできたのではないでしょうか。
家事の分担という側面はもちろんのこと、父親の子育て参加には子どもの成長に関わる大きなメリットがあるようです。
イギリス・ニューキャッスル大学の研究によると、成長期に父親と長い時間を過ごした子どもは知能指数が高く、社交性があり、より高いキャリアを得ることが報告されています。また別の調査では、父親と過ごす時間が長い子どもほど「自分の仕事への満足度が高い」という結果も出ています。
一方、財団法人日本青少年研究所が行った調査によると、約93%の高校生が「自分に価値がない」と感じているという悲しい結果が出ています。国際社会で生き生きと仕事をするためには、父親の子育て参画を今以上に押し進める必要があるのではないでしょうか。
結果ではなく努力を褒める
子どもの褒めかた一つ取っても、大きな影響を与えることがわかってきました。スタンフォード大学である実験が行われました。それはティーンエイジャーに簡単な知能テストを行い、褒め方によってどのような変化が生じるか調査するものでした。
まず簡単な知能テストを行い、生徒の半分には「大変よくできました。あなたは頭が良いのね」と知性を褒める言葉をかけました。
そして残りの半分には努力を褒める言葉をかけました。「大変よくできました。あなたは一生懸命がんばったのね」といった具合に。
次に同じ生徒に先に行った知能テストよりも難しいテストと簡単なテストの2種類を与え、どちらか好きな方を生徒に選ばせたそうです。すると知性を褒められた生徒のほとんどが簡単なテストを選んだのに対して、努力を褒められた生徒の90%は難しい方のテストを選んだそうです。努力を褒められた生徒はチャレンジし続けることを優先するので勇気を持って挑戦できるようになったのです。先ほども書きましたが、日本の子どもたちは自分に価値がないと感じている子が多いので、家庭での子どもの褒め方1つでもこうした現状を変えることができるかもしれません。
勉強ができる子は非認知能力が高い
カリフォルニア州立大学名誉教授が、「勉強ができる子に共通する資質」を調査したそうです。
そしてその結果は博士の想像とは全く違っていたようです。いくつかご紹介しますと、
①あきらめない子
②自制心がある子
③人の話を聞ける子
④柔軟に思考できる子
⑤正確さを追求する子
⑥チャレンジを恐れない子
つまり一部の天才的な才能を持つ子を除けば、粘り強く努力を継続する力、集中して物事に取り組める力、失敗を恐れないチャレンジ精神といったものとなったのです。そしてこれは「非認知能力を伸ばすとどうなる!?」に記載したように非認知能力を伸ばすことで得られる資質です。
非認知能力は家庭でも伸ばすことができる能力です。非認知能力は認知能力(IQテストで測れる能力)と相互性があることが研究でわかってきています。
終わりに
家庭ですぐに実践できる子育てテクニックを一部ご紹介しましたが、本書にはまだまだ参考になる内容が書いてありますので、次回もいくつかご紹介します。