生きる力とは
「これからの子供たちには生きる力が必要だ」
「生きる力をつけるためには?」
など様々なメディアで、「生きる力」について取り上げられています。
国立教育政策研究所の2013年の提言によると、思考力を中核とし、それを支える基礎力と、使い方を方向づける実践力の三層構造で体系化されたものを「21世紀型能力」と定義し、この21世紀型能力を培うことが「生きる力」に繋がると記されています。
実際文部科学省のHPでも、「生きる力」に関する内容がピックアップされています。https://www.mext.go.jp/a_menu/a002.htm
実際、幼稚園は2018年、小学校以降は2020年から順次「生きる力」を盛り込んだ新しい学習指導要領が導入されていく予定です。
認知的能力と非認知的能力
生きる力というのは、有識者の間でも若干定義が変わることもあるようですが、一つ言えることは、生きる力とは「認知的能力」と「非認知的能力」から成り立つということです。
認知的能力とはIQテストなどで測ることができる能力です。読み書きや計算などから算出される能力を指します。クイズ番組でも高IQのタレントが出演していたりするので皆さんも馴染みがあると思います。
一方非認知的能力とは、IQテストで測れない能力になります。ここは国によっても定義が若干異なりますが、一言で表現するのであれば「総合的な人間力」のことを指します。
非認知的能力はなぜ重要なのか?
近年、非認知能力を伸ばすことが重要視されていますが、非認知的能力を伸ばすと具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?結論から言えば学歴や所得が向上するという調査結果があります。
代表的なものに、2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授による研究があります。これは1960年代から続いている「ペリー就学前プロジェクト」を独自の切り口で検証したものになります。
この調査は、経済的理由で幼児教育を受けることができない貧困世帯の3~4歳の子供たちを対象に、約半数の子供には週3回、1日3時間のプリスクールに2年間通ってもらいました。さらに、週に一度、教師による家庭訪問も行いました。残りの半数はこれまで通りの生活をしてもらいました。そして彼らが40歳の時点で、プリスクールに通ったグループは、通わなかったグループに比べて、収入が多い、持ち家率が高い、学歴が高いなどの差が見られたのです。
この結果を「教育を受けてIQが伸びたからではないか?」と考えるかもしれませんが、ヘックマンは彼らが大人になってもより幸せでいられるのは、プリスクールに通って認知的能力を伸ばしたからではなく、認知的な能力以外の非認知能力を身につけたことが大きな要因ではないかと考えています。なぜなら子供たちのIQを調べると、プリスクールに通っている間は急激に伸びていますが、9歳ごろになるとIQの差はほとんどなくなるからです。
まとめ
では非認知的能力を伸ばすにはどうすれば良いのでしょうか。絶対解はないと思いますが、いますぐできる一つの方法として、子供にお手伝いをしてもらうことはとても有効だと考えられています。
さらに嬉しいことに、非認知的能力と認知的能力は相互性があることもわかってきています。つまり前述の通り非認知的能力を高めることは、受験勉強においても有利になりうるということです。
皆さんもご家庭で子供の非認知的能力を伸ばすために、いろいろと取り組まれてみてはいかがでしょうか。