はじめに
皆さんは「GRIT(グリット)」という言葉を聞いたことはありますか?
ペンシルベニア大学の心理学者アンジェラ・リー・ダックワース教授が、才能やIQ(知能指数)そして学歴よりも欠かせない要素として提唱したのがこの「GRIT」という力です。
日本語では「やり抜く力」と訳され、社会的に成功している人たち(例えば、マイケル・ジョーダン、スティーブ・ジョブズ、マーク・ザッカーバーグなど)の共通点に「GRIT:やり抜く力」が身についていたとして、近年注目を集めています。
日本流に置き換えてしまえば「努力と根性」かもしれませんが、日本ではもう古いと感じるようなこれらがアメリカの心理学者たちの間で見直されているというのは意外ですよね。
GRITとは?
「GRIT」を提唱したダックワース教授は、心理学の研究者になる前に中学校で教師をしていましたが、子供たちに勉強を教えていて気付いたことは、IQの高低だけで子供の優劣が決まるものではないということでした。
ダックワース教授は、社会においてどんな人が成功し、それは何故なのかを研究した結果、成功している人の共通点は「GRIT」を持っているという点を発見しました。
「GRIT」は4つの言葉から作られた造語で、それぞれの頭文字を取って「GRIT」と呼んでいます。
- Guts(度胸):困難なことに立ち向かう
- Resilience(復元力):失敗しても諦めずに続ける
- Initiative(自発性):自分で目標を見据える
- Tenacity(執念):最後までやり遂げる
「GRIT」は生まれつきの才能や環境によって身につくのではなく、誰しもが後天的に伸ばすことのできる能力なのです。
4つのルール
では、この能力を身につけるにはどうしたら良いのでしょうか?
それには、「GRIT」が身につく親子の4つのルールがあるとされています。
- 家族全員が、ひとつは「ハードなこと」に挑戦しなければならない
- やめてもよい
- 「ハードなこと」は自分で選ぶ
- 新しいことでも、今やっていることでもかまわないが、最低でも1つのことを2年間は続けなければならない
今よりも少し難しいことを自分で選んで挑戦していくことで、「GRIT」の能力は身についていきます。
もちろん、挑戦して、うまくいかないこともあるでしょう。
しかし「GRIT」の能力を身につけるためには、うまくいかなかったり、失敗をしたとしても、「どうやったら次に成功できるだろうか」と再考し、めげずに挑戦し続けなければいけません。
そうして失敗を糧として前向きに捉え、「ハードなこと」をやり抜くことによる成功体験を積み上げて、「自分ならやれる」という自己肯定感を高めることで自然と周囲の人の信頼も得ることができるはずです。
2年間という長期間で続けることがルールとされていますので、「ハードなこと」を選んだものの、しっくりこなければ変えても大丈夫です。
ただし、「ハードなこと」を変えるときは、年度末など、ある程度の区切りがつくまでは続ける必要があり、「つらいから明日からやめる」というのはNGです。(区切りのいいところまでは続けることで「やり抜く力」が高まるからです。)
人は環境に依存することが多いものですが、特に子供にとっては親の影響が大きいですから、そこで親も自分の目標を持って子供と一緒にやることで、親の行動をお手本に子供も学んでいくことができます。
まとめ
社会的に成功している人たちは、挑戦と失敗を繰り返しながらも、やり抜く力があったからこそ大きな成功を収めているのだとダックワース教授は指摘します。
「GRIT」は、ともすれば頑固だったり、アドバイスに耳を傾けないので間違った方向に進んでしまう可能性も含んでいますが、子供には私たち親がついています。
子供がそんな状況になったり、つまづいたり、諦めそうになることもあると思いますが、そんな時には私たち親が支えてあげましょう。
そして、忘れかけていた「努力と根性」を、今こそ私たち親が子供に見せてあげましょう!